Yuki-KG’s blog

アメリカやイギリス、英語のことなど書いています。

英語のエッセイの効果的な書き方

英語の文章の書き方にはある決まった型、お作法があります。文章といっても小説や脚本から、新聞・雑誌記事、スピーチ原稿にいたるまでいろいろありますが、ここでは一番書く可能性の高そうな、エッセイについて紹介します。

Contents

エッセイの種類

エッセイといっても日本語の“随筆”ではなく、英語のエッセイとは“小論文”に近いものです。

エッセイには、

  • 説明型エッセイ (expository essay)
  • 学校の入試に申し込むためのアプリケーションエッセイ (application essay)
  • 研究レポート (research report)

などがありますが、本記事では説明型エッセイに絞って解説します。

説明型エッセイの種類

説明型エッセイには、記述型 (descriptive)、説得型 (persuasive)、語り型 (narrative)、分析型 (analytic) があります。

記述型エッセイ (descriptive essay)

記述型エッセイ (descriptive essay) とは、人や、場所、物事、感じ、状態について、読者の視覚、嗅覚、触覚、聴覚、味覚に訴えかけて説明するものです。

旅行雑誌、科学雑誌、芸術、建築、音楽、ダンス、その他の題材の雑誌記事の形式をとるものがあります。

記述型エッセイの例は、ピーター・マシーセンやルイス・トーマスの全集などに多くあるようです。

説得型エッセイ (persuasive essay)

説得型エッセイ (persuasive essay) は、自分の意見を読者と共有しようとするために書くものです。

どの点を訴え、その点をいかに補強するかを考えて、強い議論が可能になるように、自分の意見は、事実、事例、引用で補強します。

新聞や雑誌の社説は、説得型エッセイの一種になることがしばしばです。

説得型エッセイの例としては、ウィリアム・F・バックリーやアンナ・クインドレンの全集などがあります。

語り型エッセイ (narrative essay)

語り型エッセイ (narrative essay) は、真実の物語を語るときに書きます。

単に起こった出来事に関することを書いたり、出来事の解釈やその意味を語ったりします。

歴史や自分史、略歴は、語り型エッセイの形式で書かれることが多いです。個人的な語りや独白も、語り型エッセイになることが多いです。

エルマ・ボンベック、ジョアン・ディディオン、ノーマン・メイラーの語り型エッセイが有名なようです。

分析型エッセイ (analytic essay)

分析型エッセイ (analytic essay) は、ある主題を分析、つまり批判的に見つめ、それがどのように作用するかを見るもので、書くのが最も難しいタイプのエッセイかもしれません。

段落

英語の文章は、段落 (paragraph) 単位で構成されています。日本語の文章にも段落はありますが、英語の段落はそれそのものがしっかりとした役割をもっています。MS Wordのつくりをみても、段落というものを重要視しているのがわかります。

トピックセンテンス

トピックセンテンス (topic sentence) とは、段落の本旨 (main idea) を表現した文のことで、その段落について説明するものです。

トピックセンテンスは、段落のどこにでもあらわすことができますが、最初か最後に出てくることがもっとも多いです。

段落の最初にトピックセンテンスを置くのは、読者にその期待するものを説明するときで、本旨をまとめるときには、トピックセンテンスを段落の最後に置きます。以下の文章の太字であらわしたところがトピックセンテンスになります。

With the problems in the ozone layer, consumers and manufacturers are more concerned than ever with developing sunscreens that work. One in six Americans will get skin cancer, so skin care companies are coming out with higher SPF products. They are also developing products that protect against both UVA and UVB radiation.

Since the development of effective sunscreens, Americans have been spending more time than ever in the sun. Unfortunately, until recently, most sunscreens protected only against UVB radiation. Some scientists contend that the growing incidence of melanoma is the result of increased exposure to UVA rays that these products do not screen.

オゾン層の問題で、効果のある日焼け止めを開発することについて、消費者と生産業者はこれまで以上に意識が高くなっている。アメリカ人6人に1人が皮膚がんになるので、スキンケア企業はSPFがより高い製品を提供している。 また、UVAとUVBの両方の放射線に対して保護する製品を開発している。

効果的な日焼け止めの開発以来、アメリカ人はこれまで以上に多くの時間を太陽の下で過ごしてきた。 残念ながら、最近まで、ほとんどの日焼け止めはUVB放射線に対してのみ保護していた。 一部の科学者は、黒色腫の発生率の増加は、これらの製品が保護しないUVA線への暴露の増加の結果であると主張している。

詳細情報の補足

英語では、段落の中では、すべての文は本旨を補強 (support) しなければなりません。これを詳細情報の補足 (supporting details) といいます。

英語の段落は、たいていトピックセンテンス+詳細情報の補足という形で構成されます。

詳細情報の補足のやり方には、

  1. 本旨を深掘りして解説する方法
  2. 例を挙げる方法
  3. 事実や統計情報を示す方法

があります。

1. 本旨を深掘りして解説する方法

五感に訴える詳細を説明するやり方で、語り型エッセイや記述型エッセイで最も向いています。

The room had a sterile, antiseptic feel to it. The walls were bright white, the lighting was fluorescent, and the floor tiles were so clean they could be used as mirrors. The few pieces of furniture were metal. It smelled of cleaning fluid, and I got the feeling that if I spoke, my voice echo back to me.
部屋は無菌状態で、防腐剤が入っているような感じだった。壁は真っ白で、照明は蛍光灯、床のタイルは鏡のようにきれいである。家具は金属製だ。洗浄液のにおいがして、しゃべると声が反響してくるような気がした。

2. 例を挙げる方法

特定のできごとや証拠を提示して本旨をサポートするやり方で、情報提供型や説得型エッセイで向いています。

Daily life can be frustrating for toddlers. They often can’t speak clearly enough to make their wants and needs known. Their physical abilities, especially their fine motor skills, can get in the way of activities they long to perform. One toddler, desperate to fit an octagonal block into a hole, shrieked for half an hour when his fingers just couldn’t control their movements enough for success.
幼児にとって、日常生活はもどかしいものです。自分の欲求を伝えるために、はっきりと話すことができないことが多いのです。身体能力、特に手先の運動能力が、やりたいと思う活動の邪魔になることもあります。ある幼児は、八角形のブロックを穴にはめようと必死になっていましたが、指の動きをうまくコントロールできず、30分も悲鳴をあげていました。

3. 事実や統計情報を示す方法

説得型エッセイや記述型エッセイに向いています。

The biggest animal that ever lived has recently been unearthed in Utah. It’s a dinosaur called Seismosaurus, and it was nearly 140 feet in length. That’s 40 feet longer than the largest blue whale. A Seismosaurus was so big that it may have had multiple hearts to move the blood through its enormous body.
ユタ州で最近、史上最大の動物が発掘された。セイスモサウルスと呼ばれる恐竜で、体長は140フィート近くあったそうだ。これは最大のシロナガスクジラより40フィートも長い。セイスモサウルスはとても大きく、その巨大な体に血液を送るために複数の心臓を持っていたかもしれない。

段落の統一性と一貫性

統一性 (unity)

英語の段落は、統一性 (unity) がある必要があります。統一性とは、段落中の詳細情報を補足する文すべてが本旨を補強していることをいいます。たとえば、次のような段落は、統一性がありません。

The prospect of retirement strikes terror into the hearts of some nearly senior citizens. What will they do with all their spare time? Will their savings allow them to live comfortably? Retirement can be a time of great freedom. Not everyone enjoys it, though.
定年退職を目前にした高齢者の中には、恐怖に駆られる人もいる。余暇はどうするのだろう?貯金は大丈夫だろうか?定年退職は、大きな自由を手に入れることができる。しかし、誰もがそれを享受できるわけではない。

この段落では、最後の2つの文は、定年退職を恐れている人がいるという本旨を補強していません。これらの文を削除して、定年退職について人々が持っている心配ごとのさらなる例を含むことで、改善されます。

一貫性 (coherence)

また英語の段落は、一貫性 (coherence) がある必要があります。一貫性とは、詳細情報の補足の文が、読者が追いかけやすいように論理的な順序にならべられていることをいいます。

文をならべる方法には、次のようなものがあります。

1. 時系列 (chronological order) にならべる方法

出来事が起こった順にならべるやり方で、説明型エッセイや、語り型エッセイのあるものに向いています。

To get yourself a job interview, you should first find out if your target company is hiring. Call up and determine to whom you should send your résumé. Then send it, along with a well-written cover letter. Finally, a follow-up phone call will ensure that the résumé has been received and read.
就職面接を受けるためには、まずその対象の会社が募集しているかどうかを知る必要があります。電話をして、履歴書を誰に送るべきかをはっきりさせます。それから、良く書かれたカバーレターとともに履歴書を送ります。最後に、確認の電話をしておくと、その履歴書が受け取られ、読まれたことを確認できます。

2. 空間的な順 (spacial order) にならべる方法

左から右へ、右から左へ、上から下へ、下から上へ、近いところから遠くへ、遠いところから近くへ、といった空間的な順にならべるやり方で、記述型エッセイや指示文書などに向いています。

He stared at the creature in amazement. It had enormous feet clad in huge black shoes, and legs that seemed to extend for yards. Its chest was twice the size of his, and its shoulders twice as broad. A jaw that beat out Schwarzenegger’s, red hair that sprang out in all directions—this was his new son-in-law?
彼は驚いてその生き物を見つめた。巨大な黒い靴を履いた巨大な足と、何ヤードも伸びているような脚があった。胸は彼の2倍、肩幅も2倍ある。顎はシュワルツェネッガーに負けず劣らず、赤い髪が四方八方から伸びている―これが彼の新しい義息なのか。

3. 比較と対照 (comparing and contrasting) によってならべる方法

2つのものの共通点と相違点を述べるやり方で、記述型エッセイに向いています。以下の2つのやり方があります。

1) 1つの主題の詳細情報をすべてはじめに出し、そのあと残りの主題の詳細情報を出すやり方。

Gas grills are usually easy to light, and they cook evenly. It doesn’t matter if the weather is bad when you’re cooking with gas. A charcoal grill, on the other hand, gives food that true grilled taste, but charcoal can be cranky in damp weather, and if the coals aren’t arranged well, they can cook unevenly.
スグリルは通常、簡単に火をつけることができ、均一に調理することができます。ガスなら天候が悪くても大丈夫。一方、炭火焼は焼き物本来の味が楽しめますが、炭は湿気が多いと不機嫌になりますし、炭の配置が悪いと焼きムラができます。

2) 詳細情報ごとに、主題を比較・対照するやり方。

King Charles and Prince Charles spaniels do possess some important differences. King Charles spaniels are black and tan, while the Prince Charles is tricolored—white, black, and tan. The Prince Charles has spots over its eyes and on its muzzle, chest, and legs, but the King Charles is not spotted.
チャールズ国王とチャールズ王子の従者たちにはいくつかの重要な違いがある。チャールズ国王の従者たちは黒人と褐色の人なのに対し、チャールズ王子のは三色―白人、黒人、褐色―をしている。チャールズ王子の目と鼻と胸と脚にはほくろがあるが、チャールズ国王はほくろがない。

4. 重要度の順 (order of importance) にならべる方法

最も重要な詳細情報や理由を最初にもってくるやり方で、説得型エッセイや社説などに適しています。

Students should be given control of the university newspaper. They must be allowed to practice freedom of speech and to come up against the problems and pitfalls of this First Amendment right. They should have the opportunity to exercise the sort of job responsibility they will face in daily life after graduation. They don’t need to answer to faculty—after all, they’re adults, aren’t they?
学生たちにその大学新聞を管理権を与えるべきである。彼らは言論の自由を実践し、この憲法修正第一条の権利の問題と落とし穴に直面することが許されなければならない。彼らは、卒業後の日常生活で直面するような職責を果たす機会を与えられるべきだろう。彼らは教員に答える必要はない―結局のところ、彼らは大人なのだから。そうではないだろうか。 

5. 原因と結果 (cause and effect) によってならべる方法

原因から書き始め、それがどのように結果に導かれるかを説明するやり方、あるいは結果から始め、その原因を説明するやり方があります。研究レポートなどに適しています。

原因 
As stars shrink, their atoms crowd together, and move faster and faster. The interior, or core, begins to heat up. At a certain crucial temperature, a large star will explode, becoming a
星が縮むと、原子が密集し、どんどん速く動く。内部すなわち核は熱を持ち始める。そして、ある一定の温度に達すると、大きな星は爆発し、
結果 
supernova.
超新星となる。 

上の文章などは、原因から結果へと導く例です。

遷移語

遷移語 (transition) を使うと、1つの段落のなかで文から文へ動きを明確にすることができます。遷移語は、1つの文や考えが他とどうつながっているかを示します。遷移語がなければ、書いたものは途切れ途切れになったり混乱したりします。遷移語を用いることで、考えを流れやすく、明確にしてくれます。一般的な遷移語をここに示します。

時系列:first, next, then, last, finally, meanwhile

空間順:above, below, behind, in front, beneath

まとめ:therefore, thus, in other words, consequently

資格:usually, specifically, frequently, even if

説明:because, for, since

制限:however, although, if, unless, when

導入段落

いちばんはじめの段落を導入段落 (introductory paragraph) といいます。導入段落の目的は、読者の関心をつかむことです。

以下のような書き始め方があります。

1. 疑問を投げかける

Is there such as thing as the “wolf child”? There are many incidences of children reported to have been raised by animals, but scientists doubt that a child could survive without any human contact.
オオカミ少年」というのは存在するのだろうか? 動物に育てられたという例は数多く報告されているが、科学者たちは、人間が一切接触しない状態で子供が生きていけるのかどうか疑っている。

2. 引用で始める

“Man’s inhumanity to man,” wrote the poet Robert Burns, “makes countless thousands mourn.” This is nowhere more true than in what used to be Yugoslavia.
詩人ロバート・バーンズは、「人間の非人間性は、数え切れないほど多くの人々を悲しませる」と書いた。これは、かつてユーゴスラビアであった場所ほどあてはまるものはないだろう。

3. めずらしい事実で始める

An average-size adult human being has at least six pounds of bacteria inside his or her body. You’d think we would all be deathly ill—but many of these bacteria are useful rather than harmful.
平均的な大きさのヒトの成人の体内には、少なくとも6ポンドの細菌がいる。私たちは皆、死に至るような病気にかかると思うだろう―しかし、これらのバクテリアの多くは害より益をもたらすのである。

4. 強烈な叙述で始める

The sky was boiling as if it had been heated on a giant stove. Gray clouds bubbled as the wind whipped them in circles and sent them scudding toward the horizon.
空は巨大なストーブで熱せられたかのように沸騰していた。灰色の雲は、風が円を描いて水平線に向かって飛ばし、泡を吹いた。

結論段落

結論段落 (concluding paragraph) も、導入段落と同じくらい重要です。

文章の終わらせ方のテクニックにもいくつかあります。

1. 議論を再度繰り返す (restate)

これまで議論してきたことを明確にし、自分の理由をまとめる手法で、説得型エッセイに向いています。

It is clear that we need more primary care doctors. The percentage of general practitioners and internists has shrunk by 25 percent in the past 30 years. This has led to increased costs and a lack of basic care for many. If health care reform is to succeed, it must address this pressing problem.
プライマリケアの医師がもっと必要なであることは明らかだ。開業医や内科医の割合は、過去30年で25%縮小している。このため、多くの人が費用の増加や基本的なケアの不足を感じるようになっている。医療改革が成功するためには、この差し迫った問題に対処しなければならない。

2. 時系列で終わる

語り型エッセイに向いています。

The wind finally stopped. From their burrow in the snowbank, Hank and Lenny heard the world return to normalcy. They dug their way up to air, through almost a foot of new snow. When they broke through the crust, Hank started to laugh, but Lenny just stared. There, not ten yards away, was their own house.
風がようやくやんだ。ハンクとレニーは雪洞の中から、世界が平常に戻るのを聞いた。二人は1フィート近く積もった新しい雪を掘り返して、空中に飛び出した。地面を突き破ったとき、ハンクは笑い出したが、レニーはただ見つめるだけだった。そこには、10ヤードも離れていないところに、自分たちの家があった。

3. これまで言ったことを要約する

ノンフィクションやビジネス文書に適しています。

In short, updating our office phone system would help to increase both orders and efficiency. A single receptionist would route calls, and 800 number would increase orders, and a special number for customer assistance would lead to customer satisfaction and, as a result, higher volume.
要約すると、わが社のオフィス電話システムを一新することで、受注と効率の両方が向上するのです。受付担当を1人にすれば電話の取り次ぎができ、800番号にすれば受注が増え、お客様相談用の専用番号を設ければ顧客満足につながり、結果的に受注数アップにつながるのです。

まとめ

いかがでしたか?

英語のエッセイのうち、説明型エッセイ (expository essay) を書く基本についてまとめてみました。

説明型エッセイには、記述型 (descriptive)、説得型 (persuasive)、語り型 (narrative)、分析型 (analytic) があります。

英語の文章を書くときには、段落 (paragraph) を意識する必要があることにも触れました。段落には本旨を説明するためのトピックセンテンスがあることも触れました。またトピックセンテンス以外の文で、詳細情報の補足 (supporting details) を行って本旨をサポートすることにより、統一性 (unity) がある必要があることも説明しました。また詳細情報の補足の文は、一貫性 (coherence) がある必要があることも説明しました。

詳細情報の補足のやり方には

  1. 本旨を深掘りして解説する方法
  2. 例をあげる方法
  3. 事実や統計情報を示す方法

があります。

コヒーレンスを持たせるための文のならべ方には

  1. 時系列 (chronological order) にならべる方法
  2. 空間的な順 (spacial order) にならべる方法
  3. 比較と対照 (comparing and contrasting) によってならべる方法
  4. 重要度の順 (order of importance) にならべる方法
  5. 原因と結果 (cause and effect) によってならべる方法

があります。

段落の中の文の流れを良くするために、遷移語の使い方を説明しました。

段落の中でも重要なものとして、導入段落と結論段落があり、それぞれの効果的な使い方のテクニックも紹介しました。

どうぞビビッドな英文を書いてみてください!

参考文献

The Princeton Language Institute. 21st Century Guide To Improving Your Writing. New York: Dell Publishing, 1995.